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[核兵器禁止条約 第1回締約国会議] ドーム前から廃絶訴え あす開幕 ウィーンとネット中継

 核兵器禁止条約の第1回締約国会議が21日、オーストリア・ウィーンで開幕する。開幕を間近に控えた19日夕、被爆地広島の原爆ドーム(中区)と現地をオンラインで結ぶイベントがあり、原爆小頭症の被爆者や家族でつくる「きのこ会」会員たちが核兵器廃絶や世界平和を願うメッセージを届けた。

 きのこ会によると、母親の胎内で被爆し、知能と身体に障害がある小頭症被爆者が国際的な場で発言するのは初めて。母親が爆心地から約1キロの広瀬北町で被爆した川下ヒロエさん(76)=東区=は「戦争は怖い。嫌です」と声を上げた。きのこ会の長岡義夫会長(73)=安佐南区=は、世代を超えて被害を及ぼす核兵器の非人道性を強調した。

 イベントは、条約制定に尽力した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))主催の市民社会フォーラムの一環。被爆者の田中稔子さん(83)=東区=は、ウクライナに侵攻したロシアが核兵器の使用を示唆したことを踏まえ、「核兵器を持つ国の脅しによって、世界はおびえ、平和どころか思考停止に陥っている」と指摘。締約国会議で事態が好転することを望んだ。

 ドーム前では、被爆者たち約60人が「核兵器なくせ!」などと書いたプラカードを掲げた。ウィーンのほか、被爆地の長崎市などともオンラインで結んだ。

 締約国会議は23日までの3日間。初日は、核兵器の被害者や広島市の松井一実市長の演説が予定されている。22日に加盟国を増やす方策などを協議し、23日に最終文書を採択する。(余村泰樹)

(2022年6月20日朝刊掲載)

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