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[核兵器禁止条約 第1回締約国会議] 強まる核依存に警鐘 露侵攻「廃絶の必要性 突きつけている」 サーローさんが講演

 核兵器禁止条約第1回締約国会議(21~23日)を前にオーストリア・ウィーンで開かれている「核禁フォーラム」で18日、広島で被爆したサーロー節子さん(90)=カナダ=がオンラインで講演した。サーローさんは禁止条約を「核の脅威が支配する時代の終わりの始まりです」と強調。ロシアが核兵器使用を示唆するウクライナ情勢を踏まえ、条約の重要性を訴えた。(小林可奈 ウィーン発)

 フォーラムは、条約制定に貢献した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の主催。サーローさんは冒頭、「ある生存者がたどった道のり」との演題を紹介し、「人類がたどってはならない道のりです」と伝えた。

 13歳の時、爆心地から約1・8キロの地点で被爆した当時の情景をまざまざと語り、「『お母さん助けて』『神様助けて』。想像してください。あなたの耳に届くかすかな叫び声は、死に向かうあなたの友人の声なのです」と語りかけた。

 ウクライナ情勢についても言及。「ウクライナでの戦争は核兵器廃絶の必要性をこれまで以上に突きつけています」と核兵器への依存が強まる国際社会に警鐘を鳴らした。また、岸田文雄首相(広島1区)が先進7カ国首脳会議(G7サミット)の広島開催を決めたことにも触れ「G7を広島に招く前に、禁止条約について国としての話し合いを始めてください」と求めた。

 会場では約100人がサーローさんの言葉に耳を傾けた。ルワンダから参加した団体役員テオジェンヌ・イヤカレミエさん(48)は「とても心を動かされた。彼女の言葉を胸にルワンダが禁止条約に参加するよう努力したい」と力を込めた。

(2022年6月20日朝刊掲載)

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