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[核兵器禁止条約 第1回締約国会議] 被爆者「苦悩 生涯続く」 ウィーン NGO集会で証言

 核兵器廃絶に向けた取り組みについて考える「核禁フォーラム」が18日、オーストリア・ウィーンで始まった。21日からの核兵器禁止条約第1回締約国会議を前に、条約制定に尽力した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))が主催し、19日まで。ウィーンでは同会議が閉幕する23日までを「核禁ウイーク」と銘打ち、核兵器廃絶に向けたさまざまな行事が催される。(小林可奈 ウィーン発)

 核禁フォーラムの初日は、各国の核兵器の被害者や核軍縮の専門家たちが参加。禁止条約の締約国拡大や核兵器の非人道性などをテーマに約30の分科会を開催した。核兵器による惨状をテーマにした分科会では、長崎で被爆した日本被団協の木戸季市事務局長(82)が、ICANの川崎哲(あきら)国際運営委員たちと登壇した。

 木戸事務局長は5歳の時の被爆体験を証言。「爆心地に近づくにつれ、ごろごろ転がった死体、水を求める人々が目に入りました。地獄としか言いようのない光景でした」と77年前を振り返った。「被爆者の命、体、暮らし、心の不安、苦悩は生涯続きます」と核兵器が心身の苦しみを長期にわたり与える実態も訴えた。証言を終えると、参加者から拍手が送られた。

 18日午後の分科会では、カナダ在住の被爆者サーロー節子さん(90)がオンラインで発言する。19日は広島とウィーンをオンラインで結び、被爆地の声を届ける分科会などがある。

 核禁ウイークでは20日、オーストリア政府が核兵器の非人道性に関する国際会議を開く。21~23日の締約国会議には、広島市の松井一実市長も出席する。日本政府は国際会議に被爆者を含む代表団を派遣する一方、締約国会議の参加は見送る。

(2022年6月19日朝刊掲載)

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