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被爆地の願い 常に発信 平和宣言

 史上初めて市民の頭上に原爆が投下された広島市の市長は、一貫して世界の恒久平和と核兵器廃絶を訴えてきた。重要な場の一つが、毎年8月6日の平和記念式典で読み上げる平和宣言。被爆2年後の1947年、「原爆市長」と呼ばれた浜井信三市長が第1回平和祭で読んだのが最初だ。宣言は世界各国に送られ、会場の平和記念公園(中区)から被爆地の願いを国内外に発信してきた。

 核兵器禁止条約を巡って松井一実市長は2020年の平和宣言で、被爆者の思いを誠実に受け止めて同条約の締約国となるよう日本政府に求めた。21年の宣言では、一刻も早く締約国となるよう訴えるとともに、第1回締約国会議に参加し、核兵器保有国と非保有国の橋渡し役を果たすよう要請した。

 市民や都市レベルでの核兵器廃絶に向けた機運の醸成にも力を入れる。松井市長が会長を務める平和首長会議の加盟都市は6月1日現在で、166カ国・地域の8174都市。緊迫するウクライナ情勢を受け、ドイツ国内を中心に加盟都市が急増した。21日に始まる締約国会議では、松井市長が平和首長会議の会長としてスピーチを予定している。

 来年には広島市で先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれる。被爆地では初めて。市は核兵器保有国の米英仏の首脳たちが被爆者と面会し、原爆資料館(中区)を視察する時間を設けるよう求めている。

(2022年6月19日朝刊掲載)

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