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[2023広島サミット]宿泊や警備「備え万全に」 被爆者団体「証言聞いて」 広島サミット 5月後半で調整

 広島市で来年ある先進7カ国首脳会議(G7サミット)について、政府が5月後半の開催を検討していることが分かった18日、市や広島県の担当者は万全の支援へ気を引き締めた。史上初の被爆地開催まで1年弱。宿泊や警備面の対応に加え、被爆者たちが望む各国首脳による平和記念公園(中区)訪問の実現へ、官民を挙げて取り組む。

 市は開催支援と歓迎機運の醸成へ、20日にG7広島サミット推進担当局長を置き、推進室を設ける。室長に就く垰田宜宏・連携推進担当部長は、政府が検討中の5月後半の開催について「思ったより早い印象。決まれば準備を加速する必要がある」と受け止めた。県も担当部署を検討中で、平和推進プロジェクト・チームの松崎万紀子担当課長は「どういう日程でもしっかり準備する」と話した。

 日本での過去のサミットは5~7月に開催。近年、大雨災害が相次ぐ広島市の気候などを踏まえ、梅雨入り前の日程を予想する声が地元の関係者にはあった。

 県内のあるホテルの担当者は「大型連休と夏休みに挟まれた時期。修学旅行の利用が一定にあるが、一般利用はある程度落ち着いているのでは」と見通した。サミットの主会場候補のグランドプリンスホテル広島(南区)は「正式に決まった場合は万全の受け入れ態勢で協力する」とした。

 一方、被爆地で開く意義として、岸田文雄首相(広島1区)は原爆慰霊碑に参加国の首脳を伴い、核兵器廃絶の決意を示す意向とされる。県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)は「形だけにならないよう、原爆資料館を見学し、被爆証言を聞いた上で発信を」と注文。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(77)も「首脳が被爆の実態を知るのが大切だ。首相は被爆者の要望をしっかり伝えて」と訴えた。

 サミット成功へ要人警護や交通規制も大きな課題となる。県警は7月1日付でサミット対策課を設け、段階的に100人規模にする。幹部の一人は「与えられた期間で対策を進め、万全の警備をできるよう備えたい」と意気込んだ。

(2022年6月19日朝刊掲載)

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