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社説・コラム

天風録 『修学旅行』

 コロナ禍が落ち着きを見せ、平和記念公園に修学旅行生が戻ってきて久しい。きのうは、3年ぶりに来たという関西の小学校の児童を見かけた。今季最高の暑さに負けず碑を巡る姿に背筋の伸びる思いがした▲ところが、引率する大人が問題を起こすこともある。昨年秋の修学旅行シーズン、岐阜県の中学校の先生が、訪れた金沢市で初日の昼に羽目を外してしまう。5人が海鮮丼や天ぷらを食べながらビールをジョッキで1~2杯飲んだという。耳を疑う▲その間、生徒は班に分かれて学習し、ホテルで昼食を取っていたそうだ。5人の先生に後ろめたさはなかったのか。匿名の手紙が教育委員会に寄せられ、不届きな行動が明るみに出た。減給処分を受けたのも当然だろう▲先生たちの弁明は聞いてあきれる。「問題だという認識はあったが、油断した」。なぜ油断すれば、ビールを飲むのだろうか。さっぱり分からない。油断より「酒断」の方が先だろうに▲修学旅行は、広島でもコロナ禍による激減から回復途上にある。訪れる多くの子どもが、私たち大人の背中を見ていることを忘れないようにしたい。背筋を伸ばして、手本になるような言動を心掛けなければ。

(2022年6月18日朝刊掲載

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