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核禁条約会議 きょう開幕

 核兵器の保有や製造などを全面禁止した核兵器禁止条約の第1回締約国会議が21日、オーストリア・ウィーンで開幕する。ロシアのウクライナ侵攻で核兵器使用のリスクが高まる中での開催。批准国などが核兵器の被害者救済や核兵器廃絶に向けた具体的な取り組みを話し合う。広島の被爆者たちが切望する核兵器のない世界に向けた協議が本格化する。(小林可奈 ウィーン発)

 会議は23日までの3日間。批准国とオブザーバーとして参加する国の代表者たちが出席する。日本の被爆者も発言する見通し。初日の21日は、各国代表や、平和首長会議の会長を務める松井一実・広島市長たちが演説する。

 22日は、核兵器被害者の支援と環境修復、条約への参加促進について議論。核兵器保有国や自国に他国の核兵器を置く国が条約に入った場合の核全廃・撤去の期限を検討する。23日には最終文書の採択などを予定している。

 会議では、ウクライナ情勢を踏まえた政治声明や条約運用に向けた行動計画も議論するとみられる。条約制定に尽力した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のベアトリス・フィン事務局長は19日に記者会見し「核の脅威に頼る姿勢を非難し、条約の内容を実現するための具体的な方策が盛り込まれる見通しだ。核兵器保有国や日本などの同盟国にとって、大きな影響を与える」と強調した。

 会議には、欧米の「核同盟」の北大西洋条約機構(NATO)に加盟するドイツ、ノルウェー、オランダ、ベルギーのほか、日本と同様に米国の「核の傘」の下にあるオーストラリアがオブザーバー参加する。日本は条約に署名、批准しておらず、オブザーバー参加も見送る構え。フィン事務局長は「核兵器保有国と非保有国の橋渡しの役割を果たすのであれば出席が必要だ」と求めた。

(2022年6月21日朝刊掲載)

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