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原発事故「避難の権利を」 在仏コバヤシさん 原爆資料館で講演

 核問題を取材しているフランス在住の日本人ジャーナリスト、コリン・コバヤシさん(64)=写真=の講演会が、広島市中区の原爆資料館東館であった。東京電力福島第1原発事故への対応について「避難する権利を優先すべきだ」と訴えた。

 コバヤシさんは、国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)などの国際機関を「原子力産業の利益を守るロビー団体で、チェルノブイリ原発事故では被曝(ひばく)の影響を過小評価してきた」との持論を展開。「IAEAは福島でも県などと覚書を交わし、関与することで健康調査などをコントロールしようとしている」と指摘した。

 原発事故後に福島県で始まった市民運動「福島のエートス」にICRPが関与している点についても、「住民に放射能汚染地帯での生活を受け入れさせ、事故を小さく見せたい思惑がある」と批判。「無用な被曝を避ける予防原則を確立し、避難者を受け入れることが大事だ」と強調した。

 近著「国際原子力ロビーの犯罪 チェルノブイリから福島へ」(以文社)の発刊を機に、市民団体「第九条の会ヒロシマ」などが主催。約50人が参加した。(馬場洋太)

(2013年11月12日朝刊掲載)

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