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初の核禁条約会議 開幕 ウィーン 日本は参加見送り

 核兵器の保有や製造、使用するとの威嚇などを全面的に禁じる初の国際条約「核兵器禁止条約」の第1回締約国会議が21日、オーストリア・ウィーンで開幕した。ロシアのウクライナ侵攻で核軍縮を巡る国際情勢が厳しさを増す中、批准国などが核兵器廃絶や核被害者の救済に向けた具体策を議論。広島の被爆者たちが望む「核兵器のない世界」に向けた国際社会の協議がスタートした。被爆国の日本は条約を批准しておらず、オブザーバー参加も見送った。(小林可奈 ウィーン発)

 会議は23日までの3日間。非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))によると、会議には約50カ国の締約国が出席し、約30カ国がオブザーバー参加した。条約に反発する米国などの核兵器保有国は不参加。一方、欧米の「核同盟」の北大西洋条約機構(NATO)に加盟するドイツ、ノルウェー、オランダ、ベルギーがオブザーバー参加を表明。日本と同様に米国の「核の傘」の下にあるオーストラリアはオブザーバーとして出席した。

 会議は、国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長の宣言で開幕した。議長に選出されたオーストリア外務省軍縮局長のアレクサンダー・クメント氏は、核軍拡の流れが強まる国際情勢を踏まえ「核のリスクはかつてないほど高まり、禁止条約の必要性が増している」と強調。安全保障を核兵器に頼る国々のオブザーバー参加を歓迎した。

 被爆国の日本政府は「核兵器保有国が一カ国も参加しない」などとして参加を見送った。クメント氏は記者会見し「参加する体制がまだ整っていない国があることは理解しているが、核軍縮を支持する国は核兵器を巡る国際協議の場にいるべきだ」と話した。

 日本時間の21日深夜から22日未明にかけては、核兵器廃絶などを目指す都市の連帯組織である平和首長会議の会長を務める松井一実・広島市長や被爆者たちがスピーチ。期間中、核兵器被害者の支援や環境修復、条約への参加促進について議論し、最終文書を採択する予定でいる。

 条約は核兵器非保有国がNGOなどと連携して成立を主導した。2020年10月に批准国・地域が発効要件の50に達し、21年1月22日に発効した。現在、批准しているのは65カ国・地域。核兵器保有国は参加していない。

(2022年6月22日朝刊掲載)

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