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NPT会議で核軍縮呼び掛け 首相出席を正式表明

 政府は21日、8月に米ニューヨークの国連本部で開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に、岸田文雄首相(広島1区)が出席すると発表した。日本の首相では初となる。被爆地選出の政治家としてライフワークとする「核兵器のない世界」の実現に向け、核兵器保有国にNPTで義務付けられた核軍縮を呼び掛けるとみられる。

 松野博一官房長官が記者会見で明らかにした。松野氏は、NPTについて「核兵器保有国と非保有国の双方が参加する国際的な核軍縮、不拡散体制の礎石だ」と強調。首相自ら出席することで「政府として意義ある成果を収められるよう、全力を尽くす」と述べた。具体的な参加日程などは今後調整するとした。

 政府関係者によると首相は、各国代表がそれぞれの立場を表明する開幕日の8月1日に演説する案が有力だという。NPT加盟国でもあるロシアがウクライナに核の威嚇を続け、NPT体制が揺らいでいるとの危機感を示し、米中ロ英仏の核保有5大国に核弾頭数の削減や保有情報の透明化を呼び掛ける見通しだ。

 NPT再検討会議は核兵器保有国と非保有国が核軍縮の道筋を探る場で、閣僚級や政府機関代表の出席が通例となっている。2015年の前回会議には当時外相だった岸田首相が参加。イランの核問題などを背景に各国の交渉がまとまらず合意文書を採択できなかった。(口元惇矢)

広島知事も出席へ

 広島県の湯崎英彦知事が8月、米ニューヨークの国連本部である核拡散防止条約(NPT)再検討会議に参加する方針を固めたことが21日、分かった。持続可能な開発目標(SDGs)に代わる国連の目標に核兵器廃絶を位置づけるよう、各国に働きかける。

 複数の関係者によると、湯崎知事は8月1日に始まる会議の序盤に参加する。国連本部で各国政府関係者を招いた県主催の会合を開く方向で調整している。2045年までの核兵器廃絶を国連の目標に定める取り組みを説明し、賛同者を広げる。8月6日の広島市の平和記念式典に間に合うよう帰国するという。

 また広島県議会は湯崎知事の訪米に合わせて7月30日~8月4日に中本隆志議長たち計7人の訪問団を派遣する。県主催の会合に参加したり、国際観光に関する団体を訪れたりする。

 再検討会議を巡り、広島市の松井一実市長は、平和首長会議会長として演説できる非政府組織(NGO)の枠が原爆の日の平和記念式典と重なるため、渡米を断念した。(宮野史康)

(2022年6月22日朝刊掲載)

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