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[核兵器禁止条約 第1回締約国会議] 日本不参加に憤り・落胆 広島の被爆者や若者団体

外務省担当に「直訴」も

 オーストリア・ウィーンで21日に始まった核兵器禁止条約の第1回締約国会議。批准国やオブザーバー参加国の代表たちが出席する中、被爆国日本の政府代表はオブザーバー参加も見送り、広島で会議の様子を見守る被爆者にはあらためて憤りや落胆が広がった。現地では、核兵器廃絶運動に取り組む若者が外務省の担当者に参加を迫った=1面関連。(明知隼二、小林可奈)

 広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)は「核兵器のない世界」をライフワークと語る岸田文雄首相(広島1区)に期待を寄せていただけに落胆も大きい。「良い時期に広島から首相が出たと思っていた。広島でどれほどの犠牲が出たかを考えれば、なぜオブザーバー参加程度の決断ができないのか」と語気を強めた。

 会議には、北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、日本と同じく米国の核戦力に依存するドイツやオランダがオブザーバー参加を表明。日米印と共に中国をにらむ協力枠組み「クアッド」を構成するオーストラリアもオブザーバー参加した。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(77)は「なぜ日本がかたくななのか理解できない。他国の動きを見ても米国との同盟関係を壊さず参加することはできるのではないか」と日本政府の姿勢を疑問視した。

 ウィーンでは前日の20日、「核兵器の非人道性に関する国際会議」があり、日本政府代表も参加した。終了直後、外務省のユース非核特使で市民団体「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)共同代表の高橋悠太さん(21)は同省の石井良実・軍備管理軍縮課長のそばに駆け寄り、あらためてオブザーバー参加を求めた。

 高橋さんは、日本の参加を求めてカクワカ広島がオンラインで急きょ集めた約2万1千筆の署名のパソコン画面も示した。これに対し石井課長は「禁止条約は大切だが、核兵器保有国が一カ国も参加していない」と従来の政府見解を説明した。高橋さんは「今日まさに核兵器の非人道性の議論をしたのに残念だ」と話していた。

(2022年6月22日朝刊掲載)

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