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原爆症認定 病気ごと 基準細分化 最終報告案 概要が判明

 厚生労働省の原爆症認定制度の在り方に関する検討会が年内にまとめる最終報告案の概要が12日、分かった。認定基準を病気ごとに細かく分けて明確化する必要性を強調。新たな手当制度の創設を求める日本被団協が批判する中、10月に示した骨子案を踏襲した。

 報告書案は、骨子案の冒頭と最後に、それぞれ「はじめに」「むすび」の文章を付け加えた。「むすび」では「全ての委員が同じ意見で一致したわけではない」と指摘し、現行制度を前提に見直しを主張する多くの委員と、被団協の委員の意見の対立を示唆した。

 検討会の多数意見として「(国が相次ぎ敗訴した原爆症認定訴訟の)判決を一般化した認定基準を設けるのは困難」「がんとそれ以外の病気を同様に扱うのは適当でない」などとした見解を並べた。

 その上で、認定基準を細かく分けて明確化するといった改善が「司法判断と行政認定の乖離(かいり)を縮める」と指摘した。

 一方、残留放射線の影響などから「正確な放射線量の検証は不可能」として被団協が提案する手当制度創設は一つの意見として残した。「被爆状況などを問わず認定するのは適当でないとの意見が多数」と併記した。

 骨子案をめぐり、被団協は「認定基準の明確化は改善どころか改悪だ」と批判していた。最終報告案は、14日に予定する検討会の次回会合で公表される。報告書の年内提出を受け、安倍晋三首相が制度見直しの在り方を判断する。(藤村潤平)

(2013年11月13日朝刊掲載)

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