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海底に眠る「戦争遺産」撮影 大和ミュージアムで写真展 旧日本軍艦船や航空機

 写真展「群青の追憶 海底に眠る戦争遺産を追う」が、呉市宝町の大和ミュージアムで開かれている。太平洋戦争で海中に沈んだ旧日本軍の艦船や航空機を中心に、水中写真家戸村裕行さん(40)=埼玉県草加市=が国内外の海に潜って撮影した約450枚を展示。7月3日まで。

 南洋のパラオ近海に眠る零式三座水上偵察機や、ミクロネシア連邦で撮った特設潜水母艦「平安丸」、岩国市の柱島沖で沈没した戦艦「陸奥」…。ここ10年ほどの間に撮った写真で、美しい青の海中にあって戦争の痛ましさや時間の経過を物語る。解説と共にパネルで紹介している。

 沖縄戦で日本軍の特攻を受けて沈んだ米駆逐艦「エモンズ」の近くには、突入した特攻機のものとされるエンジンなどが残る。呉海軍工廠(こうしょう)で建造された戦艦「長門」は戦後、核実験で威力を測る目標に使われ、ビキニ環礁で眠る。写真に見える主砲やスクリューは、同ミュージアム前に展示されている、柱島沖から引き揚げた陸奥の装備と同じサイズという。

 戸村さんは「海底の戦争遺産は朽ちて失われつつある。多くの命が奪われたことにも思いをはせてほしい」と話した。

 写真展は2020年春に開催予定だったが、新型コロナウイルス禍の影響で延期していた。常設展の入場料(一般500円、高校生300円、小中学生200円)が必要。火曜休館。(仁科裕成)

(2022年6月22日朝刊掲載)

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