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[核兵器禁止条約 第1回締約国会議] 廃絶の輪 各国為政者に 広島市長 軍拡の危機訴え

 オーストリア・ウィーンで開かれている核兵器禁止条約の第1回締約国会議は21、22の両日、各国代表や条約に賛成する非政府組織(NGO)の発言が続いた。広島市の松井一実市長は、核兵器廃絶や被害者救済を掲げる条約の目標達成を「広島の被爆者の切実な願い」とスピーチ。ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器の使用リスクが高まる現状に危機感を訴え、「核兵器廃絶と世界恒久平和を願う輪を各国の為政者に広げよう」と呼びかけた。(小林可奈 ウィーン発)

 松井市長は日本時間の21日深夜、核兵器廃絶などを目指す約8千都市の連帯組織「平和首長会議」の会長として約5分間、英語でスピーチした。ロシアによる核兵器使用の威嚇や市民への攻撃を一刻も早く解消しなければならないと指摘する一方、ロシアへの対抗措置として軍拡が進む恐れには危機感を示した。

 「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」との被爆者の思いも代弁。応える方法は「核軍縮を進め、その先にある核兵器廃絶しかない」と述べた。

 平和首長会議副会長の田上富久・長崎市長もスピーチした。被爆者が訴えてきた「長崎を最後の被爆地に」を合言葉に、核兵器を絶対に使わせないという共感の連鎖を世界中に広げようと語りかけた。長崎で被爆した「核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会」の朝長万左男委員長(79)は22日、医師としての知見を交え「被爆者は病の不安から解放されることはない」と核兵器の非人道性を訴えた。

 国連などによると、21~23日の会議には70以上の国・地域が出席。核兵器の被害者支援や環境汚染の回復などが主要テーマで、最終日に政治声明を採択する予定。条約に反対する米国などの核兵器保有国は参加していない。

(2022年6月23日朝刊掲載)

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