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[核兵器禁止条約 第1回締約国会議] 独など対話の必要性強調 オブザーバー NATO3国が演説

 オーストリア・ウィーンで開かれている核兵器禁止条約第1回締約国会議で22日、欧米の「核同盟」の北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツ、ノルウェー、オランダ政府の代表が演説した。3カ国はいずれも安全保障を核兵器に頼るNATO加盟国として禁止条約を批准しない姿勢を示す一方、核兵器を巡る対話の必要性を強調した。(小林可奈 ウィーン発)

 3カ国はオブザーバーとして参加。ノルウェーの代表は、ロシアのウクライナ侵攻に言及し、地理的な観点から「(核兵器の)危険性をよく知っている」と説明。会議にオブザーバー参加はしたが、NATO加盟国であるため禁止条約を批准しないと表明した。オランダの代表も「NATOへの加盟は安全保障上、必要不可欠だ」とし、禁止条約への参加を否定した。

 NATOは米国の核戦力に安全保障を依存しており、米国など核兵器保有国が加盟する核拡散防止条約(NPT)体制を重視する発言も目立った。NPTは核兵器保有を米英仏ロ中の5カ国に限定して核軍縮の交渉義務を課し、それ以外の国の保有を禁じる。ドイツの代表は「NPT体制を強化する必要がある」と主張。オランダ代表は「NPTの文脈の中で協議し、妥協点を探るべきだ」と述べた。

 3カ国は、核兵器廃絶に向けて集まった条約の批准国や他のオブザーバー参加国と話し合う場にいることの重要性は認めた。ノルウェー代表は「核軍縮に向けて建設的な対話をしていく」と断言。ドイツ代表は「率直に意見を交わすことは大事だ」などと述べた。ウクライナに侵攻し、核兵器使用を示唆したロシアを3カ国とも批判した。

 NATO加盟国では、3カ国のほかベルギーも締約国会議への参加を表明。日本と同様に米国の「核の傘」の下にあるオーストラリアはオブザーバーとして出席した。被爆国の日本はオブザーバー参加を見送っている。

(2022年6月23日朝刊掲載)

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