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[核兵器禁止条約 第1回締約国会議] 加盟なら10年以内に全廃 核保有国の条件決定

 オーストリア・ウィーンで開かれている核兵器禁止条約第1回締約国会議(21~23日)は22日、核兵器保有国が禁止条約に加盟する場合、その国に10年以内の核兵器全廃を求めることを決めた。条約には現在、米国など保有国は参加していないが、将来の加盟を見据えて具体的な期限を定めた。条約が掲げる「核兵器のない世界」に向けた指標の一つとなる。(小林可奈 ウィーン発)

 全廃期限の決定は、締約国会議の主要議題の一つだった。条約に加盟した保有国が10年以内に全廃できなかった場合、最大5年の延長を認める。ただ、延長の理由を詳細に説明する必要があるとし、10年の期限を守ることを求める。また、自国に他国の核兵器を置く国が条約に加盟した場合、その国が核兵器を撤去する期限は90日と定めた。

 期限は、南アフリカ共和国が提案した。同国は1970年代に核兵器開発に着手し一時は6個の核兵器を製造したが、90年までに全て解体して全廃した。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、今年1月時点の世界の核弾頭総数は1万2705個。最多はロシアの5977個で、次いで米国が5428個を保有している。オブザーバー参加した北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツやベルギー、オランダには米国の核弾頭が配備されている。

 締約国会議は22、23日、核兵器廃絶や核兵器被害者の支援、条約への参加促進の具体策を議論。全廃期限は、日本時間の22日深夜に決めた。最終的には、核兵器廃絶に向けた決意を示す「ウィーン宣言」を採択する予定。宣言の草案では、ロシアによる核兵器使用の威嚇を踏まえ、全ての核兵器保有国にいかなる状況下でも核兵器の使用や威嚇をしないよう求めている。

(2022年6月24日朝刊掲載)

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