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海自呉艦 進む「空母化」 かが改修 「反撃能力」担う可能性

 海上自衛隊呉基地(呉市)を母港とするヘリコプター搭載護衛艦「かが」(1万9500トン)が、最新鋭ステルス戦闘機F35Bの運用を想定した「空母化」を図るため、呉市内の事業所で改修されている。岸田政権が自民党の提言を受け、相手領域内のミサイル発射基地などを破壊する「反撃能力」の保有も唱える中、識者は「かがはその一翼を担う可能性がある」と指摘する。

 かがは3月下旬から、同基地に隣接するジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市)呉事業所(呉市)内で改修中。全長約250メートルに及ぶ甲板上や周辺で作業員たちが行き来する姿を、近くの高台からも見ることができる。

 政府は、中国の海洋進出強化を念頭に、横須賀基地を母港とする同型の護衛艦「いずも」と合わせた2隻の「空母化」に向けた改修に着手した。かがの改修には、2021年度予算で203億円を計上。海上幕僚監部によると、定期検査に合わせて10カ月余りをかけ、甲板上の耐熱塗装や艦首の形状変更を実施する。26年度から2回目の改修に入り、搭乗員待機区画などの整備をする予定という。

 改修が先行するいずもは、既に米軍岩国基地(岩国市)所属の米海兵隊のF35Bとの発着試験を行った。

 反撃能力は、自民党が「敵基地攻撃能力」を改称して政府への提言に盛り込んだ。先月の日米首脳会談で岸田文雄首相は、反撃能力の保有を含めて「国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する決意」を強調。平和憲法に基づく「専守防衛」との整合性が問われる一方、中国が今月、3隻目となる空母「福建」を進水させたといった動きもある。

 海自呉地方総監を務めた金沢工業大虎ノ門大学院の伊藤俊幸教授は、反撃能力の具体像について「長射程のミサイルを戦闘機に装備することなどが想定され、候補の一つがF35B。運用には、改修したいずも型護衛艦の存在が不可欠だ」と、かが改修との関連性を指摘。「中国に対する抑止力につながる」とみる。(上木崇達)

(2022年6月24日朝刊掲載)

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