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社宅・独身寮の大半売却 中電が経営合理化 早期退職も促進

 中国電力は13日、中国地方などにある計168カ所、3800戸の社宅、独身寮の大半を売却すると発表した。原子力発電所の停止で厳しい経営が続く中、合理化を進める。保養所の全廃、早期の退職を促す制度の対象拡大も進め、本年度内に20億円以上の収支改善を見込む。(山瀬隆弘)

 「人件費等の削減に向けた施策」として明らかにした。中国地方と東京にある社宅101カ所、独身寮67カ所は、山間部や島しょ部を除いて売却する。まず来年3月までに約20カ所を売り、10億円以上の売却益を見込む。

 中電は発電所や営業所の近くに、集合住宅の社宅や寮を保有してきた。広島県内では計61カ所ある。「厳しい収支の中、短期的な売却益を得る。借り上げ方式に移行するので、社員の待遇は変わらない」とする。

 保養所は松江市、岡山市中区、鳥取市にある全3カ所を年度内に廃止。年約1億5千万円の管理費を削減する。将来は売却する。

 早期の退職を促す転進支援制度は来年3月まで、対象を40歳以上から35歳以上に広げ割増退職金も増やす。100人が退職した場合、2014~18年度で総額20億~30億円の人件費が減ると見通す。人数を決めた希望退職の募集はしない。

 またこの日、従業員の冬の賞与を平均75万6千円とすることで労働組合と妥結した。前年より5万5千円(6・8%)少なく、減額幅は過去最大。夏と合わせた年間賞与は平均151万円で11万円少なく、支給総額を1年で11億円減らす。

 中電は島根原発(松江市)の停止に伴う火力発電所の燃料費増が収益を圧迫。14年3月期は2年連続で最終赤字になる可能性がある。電気料金の値上げは検討しておらず「低廉な料金で安定的に電力を届けるよう、全社を挙げてコスト削減に取り組む」としている。

<中国電力の収支改善策>

施策                 効果
社宅と独身寮の売却          2013年度に10億円以上の売却益
3保養所の廃止            年1.5億円の維持管理費削減
早期退職を促す転進支援制度の対象拡充 5年間で20億~30億円の人件費削減(100人退職の場合)
13年度の賞与減額          夏冬で総額11億円の削減

(2013年11月14日朝刊掲載)

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