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放影研の移転候補地 霞キャンパスに絞る

 日米両政府が共同運営する放射線影響研究所(放影研、広島市南区)が、現在地の比治山公園からの移転候補地について、広島大霞キャンパス(同区)に絞り込んだことが28日、分かった。もう一つの候補地だった市総合健康センター(中区)と比べ、広島大との共同研究のしやすさなどでメリットが大きいと判断したとみられる。

 関係者によると、放影研が23、24日、日米8人の専門家でつくる評議員会の会合を米国会場とオンラインの併用形式で開き、候補地を霞キャンパスにすることを決めた。今後は日米政府による予算確保などが課題となる見通し。

 放影研の移転を巡っては、市が2016年、費用面から「新設は困難」とする日本政府の意向を踏まえ、市総合健康センターへの移転案を提示。19年には移転を「可能」とする委託調査の結果が出ていた。

 原爆放射線医科学研究所(原医研)や広島大病院がある霞キャンパスへの移転案は20年に新たに浮上した。広島大側も「共同研究の強力な相手になる」と歓迎。研究上の利点、移転の費用や必要な設備などの観点から、放影研が市総合健康センター案と比較検討を続けていた。

 市は移転が実現した場合の跡地を含めて比治山公園一帯を「平和の丘」として再整備する構想を掲げており、早期の移転を求めている。(明知隼二)

(2022年6月29日朝刊掲載)

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