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タリバン政権下 元留学生支援へ「1000万円」 あす締め切り 現在313万円 協力者募る

広島大のCF 目標額へ苦戦

 アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン政権下で命を脅かされている広島大(東広島市)の元留学生たちを受け入れようと同大が取り組むクラウドファンディング(CF)が、30日の締め切りを前に苦戦している。目標は1千万円だが28日現在313万円。「一刻を争う」。同大は協力を呼びかけている。

 昨年8月に政権を掌握したタリバンは、民主主義国での留学経験者らを殺害したり投獄したりしている。銀行預金も引き出せない。元留学生15人と家族計74人から助けを求められた同大は、退避できた家族に月15万円の生活費を半年間給付するほか、ビザ申請費や渡航費を支援するためCFを5月に始めた。

 渡航費の自己負担は重く、すでに来日できたのは1家族のみ。2018年に大学院を修了後、同国財務省に勤めていたムシュタリ・アンダリブさん(39)は妻と3人の娘と東広島市内に今月たどり着いた。「いつ殺されてもおかしくなかった。他の人も助けて」と涙がながらに訴える。

 何度も脅迫電話を受けたという。今年3月、広島大から連絡を受け、隣国パキスタンに何とか逃れた。海外の知人から借金し、ビザと航空券を入手。全財産2千円で渡航した。

 同大は「広島で学んだゆえに命を狙われている元留学生を一人でも多く助けたい」としている。CFは募金専用サイト「レディーフォー」で30日午後11時まで。(湯浅梨奈)

(2022年6月29日朝刊掲載)

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