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[G7サミット ヒロシマへ] 「県民会議」来月にも発足 トップは知事 開催支援(2023広島サミット)

 2023年に広島市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、広島県や市、広島商工会議所などが、開催支援に当たる地元の官民組織を7月下旬にも発足させる方向で調整していることが28日、分かった。名称は「広島サミット県民会議」で、湯崎英彦知事がトップに就き、県が主導的な役割を果たす見通しだ。

 複数の関係者によると、県民会議には県内の23市町や経済団体などが加わる見込み。発足後は、県の広島サミット推進チームと市のG7広島サミット推進室が一体となり、事務局を運営するという。

 県は7月1日付で中国地域創造研究センター(中区)の山根健嗣理事を県局長級ポストの広島サミット推進審議官に任命。全職員23人がそろう。県民会議の事務局トップの事務総長には山根審議官が就く方向で調整している。(河野揚)

「オール広島」成功の鍵 県主導 市と円滑連携不可欠

 広島市であるG7サミットの日程が来年5月19~21日に決まり、広島県と市の幹部は28日、万全な準備に向けて気を引き締めた。受け入れ準備に当たる官民組織の事務局は、曲折を経て県が仕切る方向だ。サミットの成功へ、県と市の円滑な協力体制づくりが欠かせない。

 県の広島サミット推進チームと市のG7広島サミット推進室が入る中区の広島商工会議所ビルの9階。市の村上慎一郎担当局長は「ゴールが定まった。県と市が一丸となって準備する」。県の新矢敏浩政策監も「気を引き締めて取り組む」と意気込んだ。

 市の推進室は20日、県の推進チームは22日に順次発足。27日から同じフロアで机を並べ、宿泊施設確保や県警との調整などに当たっている。7月下旬にも発足する「広島サミット県民会議」の事務局を一体となって担う見通しだ。

 5月23日に開催決定後、市は当初、官民組織の事務局を市役所内に設け、市が主導する形を想定していた。2016年の伊勢志摩サミット(三重県)に先立つG7外相会合や、米国の現職大統領として初めてだったオバマ氏の被爆地訪問を、地元官民の中心になって受け入れてきた実績があるためだ。

 これに対し、県議会内で「市が全て抱え込んでやるべきではない」などの指摘が上がり、中本隆志議長も記者会見で「官民組織の先頭に立つのは知事だ」と主張。サミットという国の一大行事を県を挙げて支える観点から、県主導の流れを市も最終的に受け入れた。

 県幹部の一人は「オール広島で受け入れる。県が主導するのは当然だ」と言い切る。ただ、市幹部の一人からは「いつの間にか、県に乗っ取られた」との嘆きも漏れた。

 今後、県は宿泊施設の確保など受け入れ全般を、市は平和関連の行事を担うなど、役割分担を図るとみられる。湯崎英彦知事は28日の記者会見で「県と市が連携し、それぞれ責任を果たすのが重要だ」と強調した。(河野揚、久保田剛、川上裕)

(2022年6月29日朝刊掲載)

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