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原爆症認定基準見直し 最終案決定持ち越し 厚労省検討会

 厚生労働省の原爆症認定制度の在り方に関する検討会は14日、省内で25回目の会議を開き、年内にまとめる最終報告案を議論した。「議論が十分でない」などと批判する日本被団協の委員と、大筋を了承する他の委員が対立。結論を次回会議に持ち越した。

 委員11人が出席した。座長の神野直彦東京大名誉教授(財政学)が、認定基準を病気ごとに細かく分けることを軸とする骨子案を踏襲した報告案を提示。「長い時間とエネルギーを費やした議論の到達点を示したい」と述べ、多数意見を強調する考えを示した。

 被団協事務局長の田中煕巳(てるみ)委員は、報告書案の「(国が相次ぎ敗訴した)判決を一般化した基準を設定するのは困難との意見が多数」との記述を批判。「判決を認定基準に反映させようとせず、尊重しない姿勢はおかしい」と修正を求めた。

 これに対し、一橋大名誉教授(財政学)の石弘光委員たちは「自分の意見でない箇所に口を挟むべきではない」と反論。修正の必要はないとした。

 また、広島市の西藤公司副市長は、認定基準を細かく分けて明確化する方向性について「被爆者に寄り添う視点を大事にすれば、認定範囲が狭まることがあってはならない」とくぎを刺した。

 神野座長は、終了間際に「次回会議で報告書を取りまとめたい」と表明。月内にも開く26回目の会議を最後とする意向を示した。報告書の年内提出を受け、政府が制度見直しの在り方を判断する。(藤村潤平)

(2013年11月15日朝刊掲載)

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