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連載・特集

[ひろフェス 2022] 音楽とメディア芸術 存分に 競う若手指揮者14人 アニメコンペ54作品

広島で来月1日開幕

 音楽とメディア芸術の祭典「ひろしま国際平和文化祭」(ひろフェス、実行委員会主催)が8月1日、広島市内で開幕する。隔年開催の初回となるテーマは「いのち輝く平和芸術、みんな主役。」。次世代指揮者アカデミー&コンクールとアニメコンペティションをメインに、国内外のプロと若者、市民らが触れ合う多彩なプログラムを約1カ月間にわたり繰り広げる。(木原由維、山田祐)

 次世代指揮者アカデミー&コンクールは8月5~17日に開かれる。国内外から公募に応じた若手指揮者54人のうち、予備審査を通過した5カ国・地域の14人が参加する。

 14人は、市民に公開するワークショップで課題曲に取り組む。特別編成のオーケストラや広島交響楽団と協演する審査を経て、初代優勝者が決まる。下野竜也・広響音楽総監督が審査委員長を務める。

 アニメコンペが8月17~21日と続く。公募作品の制作地域を限定した「環太平洋・アジアコンペティション」部門と、ドキュメンタリーやフィクションなどジャンル別の「ワールド・コンペティション」部門がある。両部門で計86の国・地域から2149作品が寄せられた中から、入選した54作品を市民向けに上映する。アニメ作家や漫画家、俳優らが審査し、賞を贈る。

 オープニングの1日には、音楽、アニメのジャンルで平和文化の発信に貢献した団体・個人を「ひろしまアワード」として表彰する。

 広島市と近隣市町が協力して進める「広域連携シンボルイベント」が21、27、28日に控える。21日は人気ゲームの世界をテーマに、オーケストラの演奏やキャラクターの原画展などがある。27、28日はひろフェスのアンバサダーを務めるアイドルグループSTU48をはじめ、各日約20組がパフォーマンスを繰り広げる。

 期間中、合唱やダンス、クラシック、アニメなどジャンルを超えた「街かどフェスティバル・メディア芸術イベント」を街中で展開。作家のトークショーや交流会もある。

 次世代指揮者コンクールやアニメコンペティションなどは入場料が必要になる予定。

新しい見せ方・楽しみ方提案 次世代の育成も

ひろしま国際平和文化祭実行委員会 総合プロデューサー 藤木清治さん(50)

 このフェスは、音楽とメディア芸術を2本柱とする。広島には、広島交響楽団をはじめ、広島ウインドオーケストラ、ジュニアウインドオーケストラ広島があり、オペラも盛んだ。そしてメディア芸術を代表するアニメーションは日本が世界に誇るコンテンツ。アニメから派生したゲームも多いし、ゲームから生まれたアニメもある。そこに音楽が加わり、より魅力的な作品ができる。

 それらの芸術の新しい見せ方、楽しみ方を提案したい。昨年8月にあった1年前イベントでは広島市出身の漫画家こうの史代さんの「夕凪(ゆうなぎ)の街 桜の国」の原画にプロジェクションマッピングを施した。主人公が原画を飛び出して浮遊した。そこにオーケストラの生演奏が加わり、一つの世界を創り出した。

 もしもモナリザがしゃべり出したり、フェルメールの真珠の耳飾りの少女が話しかけてきたりしたら面白いだろう。既存の芸術に新たな演出を加え、さらに魅力を引き出したい。そして別視点の切り口で見せることで、多くの人たちの興味を呼び起こせると期待する。

 もう一つ、このフェスで力を入れるのが次世代の育成だ。アカデミーやアワードなど継続的なイベントを通して、芸術文化に触れる機会を増やし、豊かな心を育んでいきたい。それは巡り巡って平和づくりにつながると願っている。(聞き手は里田明美)

参加者支援のCF募集

 中国新聞社は、平和について学ぶひろフェス参加者を支援するため、クラウドファンディング(CF)で資金を募っている。

 支援するのは、次世代指揮者アカデミー&コンクールの参加者14人と、アーティスト・イン・レジデンスの招聘(しょうへい)作家3人。計17人は8月6日、中区の平和記念公園で平和記念式典に出席。原爆資料館の見学などもする。CFは同日の参加者間の交流イベントの運営資金などに充てる。

 寄付額に応じてスイーツや熊野筆などの返礼品を用意している。中国新聞社のCFサイト「カナエンサイ夢」で7月27日まで受け付けている。

(2022年7月1日朝刊掲載)

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