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社説・コラム

天風録 『「C7」もお忘れなく』

 「G7」が本紙紙面でがぜん目に付き出した。いざとなれば「核のボタン」を押すトップが被爆地広島で会する、歴史的な日取りも決まった。はや浮足立っていたのだろうか。NPO法人の知り合いに「C7報道も、お忘れなく」とくぎを刺された▲C7の「C」は英語でシビル・ソサエティー、つまり市民社会の頭文字だという。目を開かれた。昨年の英国、ことしのドイツと、G7サミット開催地ではC7サミットもあったらしい▲経済や環境、人権の保障といった地球規模の課題について市民の側で提言書をまとめ、G7首脳に届ける。ドイツのショルツ首相はことしの「C7」会場に顔を出し、励ましたそうだ。「民主主義には、活気に満ちた市民社会が必要です」▲コロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻で市民社会の酸欠状態が目立つ。人災というべき気候変動、貧富の格差も抜き差しならない。はっきりしているのは一つ。G7首脳でも、どうにもできないということである▲国や文化の違いを乗り越え、手をつなぐ草の根パワーの出番だろう。「C」は言わずと知れた市民球団、広島東洋カープのマークである。G7、C7とも広島の地にふさわしい。

(2022年7月2日朝刊掲載)

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