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核廃絶へ橋渡し役期待 ケネディ駐日米大使着任 被爆者ら歓迎

 駐日米大使に15日着任したキャロライン・ケネディ氏(55)は、オバマ大統領に指名されて以降、1978年に広島市を訪れた思い出と平和への思いを発信してきた。当時、ケネディ家を迎えた広島の被爆者たちも歓迎し、核超大国に核兵器廃絶の思いを届ける橋渡し役に期待する。

 ケネディ氏は20歳の時、広島大の講演に招かれた叔父で上院議員の故エドワード・ケネディ氏たちと広島市を訪問。平和記念公園(中区)で原爆慰霊碑に祈りをささげ、原爆資料館を見学した。

 広島大教授だった畑博行さん(83)=西区=はJR広島駅で一家を出迎えた。「ケネディ元大統領の長女として騒がれたのに動じず、穏やかな人だった」。55年に渡米してケロイド治療を受けた女性被爆者の佐古美智子さん(81)=廿日市市=も、広島駅で一家と対面。「日米両国の懸け橋になれる人物。早く広島を再訪し、被爆者の声を聞いて」と願う。

 原爆資料館を当時案内した故小倉馨元館長は、79年に58歳で亡くなる直前に記した著書にケネディ一家の様子を「一様に質素な服装で驚いた」と記す。妻で、通訳ボランティアを続ける桂子さん(76)=中区=は「広島で見聞きした経験は平和への思いの根底にあるはずだ」と話す。

 この日の記者会見で松井一実市長は、ケネディ氏に早期の被爆地訪問を求める考えを示した。「広島を訪れ、オバマ氏に核兵器廃絶の対応をしっかり促してもらえれば」と述べ、オバマ氏に被爆地訪問を働き掛けてほしい意向も示した。

 一方で、冷静な受け止めも。広島県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(73)は「広島への原爆投下や米国の核政策をどう考えているのか分からない」。もう一つの県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之事務局長(71)は「核兵器廃絶へどれだけオバマ大統領を動かせるのかをみたい」と受け止めた。(岡田浩平、田中美千子、新山京子)

(2013年11月16日朝刊掲載)

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