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防衛費倍増論に海自呉総監 「無条件に喜べない」

 防衛費増額を巡り、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が目標とする国内総生産(GDP)比「2%以上」も念頭に置くとする参院選公約を自民党が掲げるなどする中、海上自衛隊呉地方総監部(呉市)の伊藤弘総監は4日、「個人的な感想」と前置きした上で「もろ手を挙げて無条件に喜べるかというと、そういう気持ちにはなれない」との認識を語った。

 同総監部での記者会見で質問に答えた。2022年度の防衛費はGDP比1%相当の約5兆4千億円。2%なら倍増の10兆円超となる。伊藤総監は「社会保障費にもお金が必要な傾向に全く歯止めがかかっていない。われわれ(自衛隊)がある面、特別扱いを受けられるほど日本の経済状態はよくなっているんだろうか。一国民としての感想だが思う」と述べた。

 海水による腐食への対策など、装備の維持・管理の重要さを実感する現場の日常に触れ、「大事なのは何が必要か、持たなければならないのか、積み上げること。地に足を着けたメンテナンスにも注目してほしい」と話した。(上木崇達)

(2022年7月5日朝刊掲載)

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