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命奪われない時代 守って 市女在学中に被爆 加藤さん 母校舟入高で証言

 舟入高(広島市中区)の前身、市立第一高等女学校(市女)に在学中に被爆した加藤八千代さん(93)=西区=が7日、母校で体験を証言した。後輩に「今日明日の命が奪われないことを約束できる時代を、これからも守り続けて」と訴えた。

 加藤さんは、1945年春から戦時下に特設された「専攻科」に進学して軍需工場に動員された。8月6日は工場が休みで、友人と宮島に行く約束をしていた。爆心地から約2・5キロの己斐駅(現広電西広島駅)で友人を待っていて被爆した。

 「また明日ね、と言葉を交わした友人とは一生会えなくなりました―」。市女では1、2年生541人が、建物疎開の作業中に爆心地から約500メートルで息絶えた。加藤さんは「後輩たちは誰なのか分からないほど焼かれました。日常生活の全てを破壊する戦争を、皆さんが防いでください」と力を込めた。

 この日は舟入高卒業生の林玲子さん(81)=西区=も同席し、4歳の時爆心地から1・7キロの当時の南三篠町(現西区)で被爆した体験を振り返った。「放射線は今も被爆者を苦しめる。平和に感謝して継承する人になって」と呼び掛けた。

 1年生317人が2人の証言を聴いた。森田嶺(れい)さん(16)は「英語やインターネットも駆使して、聞いた体験を広く伝えたい」と話した。(湯浅梨奈)

(2022年7月8日朝刊掲載)

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