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長女4歳誕生日 笑顔贈る ウクライナから三次へ避難 イリーナさん一家 広島のボランティア 季節外れのサンタ役

 戦地ウクライナから三次市に避難中のイリーナ・ブワイロさん(37)一家5人の元に、季節外れのサンタクロースが現れた。長女ズラータちゃんが4歳になった7日の夕方。広島市のボランティアメンバーによるサプライズに、家族の笑顔があふれた。

 一家を支えるいとこのオクサナ・ヤシチェンコさん(47)宅のウッドデッキでの誕生会。白いひげに赤い衣装のサンタが現れると、長男アレクサンドルさん(13)とズラータちゃん、生後9カ月の次女ポリーナちゃんが目を丸くした。ケーキやカープ帽、ウクライナ民話「てぶくろ」の絵本、ドリルなどをサンタから贈られると、表情が和らいだ。

 七夕で、織り姫、ひこ星をかたどった折り紙も。イリーナさんは「ウクライナに平和を」「子どもたちが『戦争』の言葉を知らない世の中になりますように」などと書いてササにつるした。6月28日が誕生日だったアレクサンドルさんは「びっくりしたけど、勉強にもなるプレゼントでうれしい」と喜んだ。

 サンタの正体は、NPO法人チャリティーサンタ広島支部の渉外担当平田富樹さん(69)=広島市安佐南区。支部代表で大学3年渡辺光虹(みく)さん(20)=佐伯区=と訪れた。支部は22人のメンバーが、1人親家庭への訪問やクリスマスイブの活動に取り組む。

 「戦争が長引く厳しい状況の中、喜ぶ顔を見ることができてほっとした」と平田さん。渡辺さんは「ご家族の特別な日。彩りを添えられて良かった」と寄り添った。(石井千枝里)

(2022年7月9日朝刊掲載)

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