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鱒二の父らに迫る新史料 ふくやま文学館 しのぶ集いで紹介

 福山市加茂町出身の作家井伏鱒二(1898~1993年)をしのぶ鱒二忌が9日、同市丸之内のふくやま文学館で開かれた。同館に新しく寄贈された井伏の祖父や父に関する史料を紹介する講演会もあり、市民70人が参加した。

 広島大名誉教授で、親族が井伏家と交流のあった世良正文さん(69)が、同町の世良さんの実家の蔵から発見した書簡や行政文書などを基に、井伏の父も漢詩の同人誌に参加していたエピソードを紹介。井伏の作品に実名で登場する人物たちについて、史料と比較し「読者の印象に残るよう面白おかしく脚色されているところが特徴」と話した。

 同館友の会の朗読グループ「虹」による作品の朗読もあった。福山城築城400年に合わせ、幕末の福山城を巡る争いがテーマの小説「お濠(ほり)に関する話」を7人で読み上げた。

 同館は、世良さんが寄贈した史料計127点のうち地図や手紙など16点を31日まで展示する。午前9時半~午後5時。11、19、25日は休館する。 (東山慧介)

(2022年7月10日朝刊掲載)

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