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西平和大橋欄干 BMX乗り上げ 被爆者「言語道断」

 広島市中区の西平和大橋で10日夕、モトクロスバイク(BMX)で欄干に乗り上げ、ジャンプを繰り返す若者たちがいた。欄干は世界的彫刻家の故イサム・ノグチがデザインし、被爆からの復興を象徴する。被爆者は「言語道断の行為」と憤り、警察や市も事故につながる恐れがあるとして警告している。

 午後5時50分ごろ、現場近くの中国新聞ビルの3階から本紙カメラマンが確認した。橋の西詰めに集まった若者は5、6人。うち1人がBMXで高さ2・3メートルの弓なりの欄干を駆け上がり、ジャンプする行為を繰り返した。近くの横断歩道から助走を取る場面もあった。5分ほどで全員がその場を離れた。

 橋は1952年、国の直轄事業としてイサム・ノグチのデザインで造られ、2019年に補修されたばかり。被爆者で原爆資料館元館長の原田浩さん(82)=安佐南区=は「平和記念公園の入り口にあり、市民が大切に守っていくべきモニュメント。言語道断だ」と語気を強める。

 現場は市道で、歩道の幅員は1・6メートルしかない。約9メートル下の川に転落する恐れがあるほか、車や歩行者にも接触しかねない。広島中央署によると、道交法違反(道路での禁止行為)などに該当する可能性もあるという。

 橋を管理する中区維持管理課の綱木総課長は「同様の行為は今まで聞いたことがない。交通への支障や事故の危険もあるので、絶対にやめてほしい」と求めている。(川村正治、岩崎新)

(2022年7月12日朝刊掲載)

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