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軍事力重視 世界に警鐘 広島市 平和宣言概要を説明

 広島市の松井一実市長は12日、8月6日の平和記念式典で読み上げる平和宣言の文案の概要を明らかにした。ロシアによるウクライナ侵攻を背景に軍事力が重視されている世界情勢に警鐘を鳴らす内容。各国の為政者に被爆地広島を訪れるよう求め、日本政府には核兵器禁止条約の締約国会議への参加を要請する。

 ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻で核兵器の使用を示唆し、周辺国などでは核抑止への依存が高まりつつある。松井市長は自国の平和維持や安全確保のために軍事力を強化する流れに危機感を示し、「武力によらずに平和を維持する理想を追求するよう訴えたい」と説明した。ロシアの文豪トルストイの言葉を引用し、「他人を脅し自分中心で物事を考えるのは許されない」との趣旨のメッセージも盛り込むという。

 昨年の宣言では、日本政府に核兵器禁止条約の批准と締約国会議への参加を呼びかけたが、実現していない。今年6月にオーストリア・ウィーンであった第1回締約国会議には、日本と同様に安全保障を核兵器に頼りながらもオブザーバー参加した国があった。これを踏まえ、来年の第2回締約国会議への参加を日本政府に求める。

 来年5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の出席者にも被爆の実態に触れるよう求めるという。

 この日、有識者たちでつくる非公開の懇談会で文案を示し、おおむね了承を得た。8月1日に宣言骨子を発表し、同6日までに松井市長が起草する。(新山創)

(2022年7月13日朝刊掲載)

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