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女性洋画家の先駆け 広島市安佐北区出身の中谷ミユキ 画業に光 泉美術館で小特集展

 広島市安佐北区安佐町飯室出身で、戦前から女性洋画家の先駆者として東京で活躍した中谷ミユキ(1900~77年)の小特集展を、広島市西区の泉美術館が開いている。故郷に埋もれていた優品を通じ、知られざる画業に光を当てる。

 中谷は飯室で生まれ育った後、上京して共立女子専門学校(現共立女子大)を卒業。30年の第11回帝展に「静物」で初入選し、一躍注目を集めた。46年、女流画家協会を三岸節子たちと設立。52~61年には二紀会同人としても活躍した。

 会場には初期から晩年までの油彩8点を展示。33年の帝展出品作「静物」は落ち着いた雰囲気に、楽器と並ぶ魚の干物が軽やかなリズムを醸し出す。二紀展出品作「裸婦」(57年)は、自由な創作への情熱がほとばしるよう。「静物」(74年)は色彩あふれる大胆なタッチに晩年の画境が浮かぶ。

 中谷は、同じ飯室出身で「原爆の図」を妻の俊と合作した画家・丸木位里(1901~95年)と親戚関係にあった。泉美術館の永井明生学芸員が位里の作品調査をする過程で、本展の作品を見つけた。広島や関東にある中谷や位里の親戚宅のほか、飯室小や公民館などで計約60点を確認している。

 「再評価に値する画家だ」と永井学芸員。位里や靉光(あいみつ)たち、戦前戦後に活動した広島の画家との交流にも注目している。「今後も調査を重ねていきたい」と話す。

 「広島二紀作家展」と同時開催で8月16日まで。月曜休館(7月18日、8月15日は開館)。(西村文)

(2022年7月13日朝刊掲載)

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