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原爆症訴訟 被爆者ら全国原告団 来月結成 国に制度見直し要求

 原爆症の認定基準が2008年に緩和された後に申請を却下され、各地で訴訟を起こしている被爆者たちが全国原告団を結成することが18日、分かった。原告団は遺族を含め100人規模になる見通し。原爆症認定制度の在り方について、厚生労働省の検討会の議論が最終盤を迎える中、原告がまとまって抜本的な見直しを国に求める。

 原告団に参加するのは広島、長崎、東京、大阪、熊本の5地裁へ提訴している被爆者や遺族。「ノーモア・ヒバクシャ全国原告団」(仮称)として12月3日に東京都内で結成の記者会見を開く。事務局は東京都の被爆者団体「東友会」に置く。

 東友会などによると、検討会の議論を見守ってきた原告たちは「個別の訴訟で勝訴しても認定制度の大幅な改善は見込めない」と判断。今後も裁判は個別に行う一方で、結束して国に改善を申し入れ、国会議員に抜本的な見直しへの政治決断を促す。

 また交流会などを企画し、原告同士が支え合い、励まし合う目的もある。

 原爆症認定制度をめぐっては、厚労省の検討会が10年12月、見直しの議論を開始。年内にまとめる予定の最終報告は、被爆状況や病気ごとに認定基準を細かく区切るなど、現行制度を修正する提言が中心となる可能性が高い。

 これに対し、日本被団協は現行の認定制度を廃止し、症状に応じて新たな手当を支給する制度の創設を求めている。(藤村潤平)

原爆症認定制度
 原爆症認定集団訴訟で国が相次ぎ敗訴したのを受け、2008年4月から現行基準に見直された。爆心地から約3・5キロ以内で被爆▽原爆投下から約100時間以内に2キロ以内に入市―などの条件で、がんや白血病など七つの病気を積極認定。それ以外は総合判断で認定している。日本被団協は司法判断と行政認定になお隔たりがあると訴え、厚生労働省は10年12月、有識者による検討会を設置した。

(2013年11月19日朝刊掲載)

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