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永井博士の遺志 継承を願い講演 本川小で孫の徳三郎さん

 長崎で被爆しながら救護に当たった医師永井隆博士(1908~51年)の孫で長崎市永井隆記念館の永井徳三郎館長(56)が13日、広島市中区の本川小で講演した。博士ゆかりのバラが育つ同校で6年生約80人に平和の大切さを語りかけた。

 講演で徳三郎館長は、放射線医学を研究していた永井博士が被爆直後から救護活動を続け、白血病で寝たきりになった後に「長崎の鐘」など17冊を執筆して平和を訴え続けたと説明。本の印税の大半を被爆地復興に役立てたことも伝えた。

 「自分を愛し大事にするように周りの人を大切にしよう」との意味を込めた博士の言葉「如己愛人」も紹介。「世界平和を考える時、博士は身近なことから考えた。家族や友達に優しく助け合う気持ちを持ち続ける人が増えれば戦争にはならない」と強調した。

 博士が1949年に広島市へ贈ったバラの木は、中区の市役所や平和大通りで育っている。接ぎ木で増やされた2株が2020年に本川小で植樹された。児童に博士の思いを知ってもらおうとバラの保存に取り組む市民グループが講演会を企画した。

 吉村果菜さん(12)は「ロシアとウクライナの戦争で人の命が軽く扱われているのが悲しい。博士の精神が大事だと思った」と受け止めていた。(川上裕)

(2022年7月14日朝刊掲載)

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