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イラク外相 広島訪問 原爆資料館を見学

■記者 村田拓也

 来日中のイラクのジバリ外相が20日、広島市を訪れ、原爆資料館(中区)を見学した。被爆者の体験に聞き入り、「大量破壊兵器、核兵器を廃絶しなければならない」と、決意を新たにしていた。

 両国の外交関係樹立70周年を記念して、外務省から日本に招かれた。外相自身が「被爆から復興した経験を学び、イラクで役立てたい」と被爆地訪問を強く希望。市によると、イラクの現職閣僚の訪問は初めて。

 外相は、18歳で被爆した阿部静子さん(82)=海田町=から原爆投下直後の状況や、皮膚移植を繰り返すなど後遺症に苦しんだ経験を聞いた。爆風と熱線、放射線がもたらした被害の訴えに何度もうなずき、「軍拡競争が起きている中東にも、平和を求める人はたくさんいる」と阿部さんに伝えた。

 資料館では前田耕一郎館長(60)の案内で、被爆した女子学生の制服などの資料を見て回った。芳名録には「核や大量破壊兵器は人間性を破壊する。国際社会が協力して、製造、保持、使用を禁じる努力を続けなければならない」とのメッセージを寄せた。

 外相は原爆慰霊碑に花をささげた後、原爆ドームなどを見学した。

(2009年6月21日朝刊掲載)

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