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被爆体験記第56集を発刊 新日本婦人の会県本部 黒い雨被害者ら

 新日本婦人の会県本部(広島市東区)は被爆体験記集「木の葉のように焼かれて」の第56集を発刊した。広島原爆の「黒い雨」被害で、4月に新たな認定基準で被爆者健康手帳の交付が始まったことを踏まえ、黒い雨の被害者の手記などを載せている。

 B5判72ページ。5人がつづった手記と、8人の被爆体験を聞き書きした文章を掲載している。岩井史博さん(85)=広島市中区=は、集団疎開していた砂谷村(現広島市佐伯区湯来町)で黒い雨に遭ったことを振り返る手記を寄せた。当時8歳の岩井さんは赤痢の症状で苦しみ、竹やぶで排便中に雨を受けた。その後「広島は全滅じゃ」と聞き、姉にしがみついたという。

 黒い雨の新基準では、がんや白内障にかかった場合、従来の援護対象区域(大雨地域)の外でも手帳交付の対象となる。岩井さんは、基準の拡大を受けて手帳の申請を決めた。

 同会県本部は1964年からほぼ毎年、体験記集を発行している。編集委員会の平岡澄代さん(70)=佐伯区=は「核兵器廃絶を願う声を記録に残し、平和を実現したい」と力を込める。2千部を印刷し、1冊500円(送料別)で販売する。ファクスで注文を受け付ける。ファクス082(263)0447。(川上裕)

(2022年7月16日朝刊掲載)

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