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8・6慰霊祭 通常規模に 感染対策は徹底 一部団体 コロナ前の参列者数・内容

 8月6日の原爆の日とその前に広島市内で営まれる慰霊祭で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で縮小してきた規模を例年に近づける動きが出ている。少なくとも16団体が参列者を増やしたり、内容を通常に戻したりする。ただ、7月に入って市内の感染者は増加傾向にあり、各団体は感染対策を徹底して慰霊や平和の発信をする方針だ。(新山創、余村泰樹、川上裕)

 広島県被団協(箕牧(みまき)智之理事長)は、8月6日の慰霊式を3年ぶりに中区のホテルで開く。過去2年は参列者を役員たち約10人に絞って同区の事務所の一室で開いた。見送ってきた県内組織や国会議員への案内状も今年は発送した。

 例年は150人程度が集まる。前田耕一郎事務局長は「先人を慰霊し、平和活動の意義を受け継ぐ大切な行事。通常通りに開きたい」と話す。

 平和記念公園(中区)南側の「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」前である慰霊祭は例年約400人が参列するが、2020、21年は10人程度だった。主催する維持委員会は同4日に開く今年は200~300人程度に戻し、参列者の距離を一定に保つ。維持委は「実際に碑前に立つことで平和への思いが深まる」とする。

 中国新聞が例年行事を開く43団体に聞いたところ、今月15日時点で16団体が昨年より規模を大きくしていた。市が今年8月6日の平和記念式典の参列席を20、21年の4倍の約3550席に増やしたことも影響しているとみられる。広島赤十字・原爆病院(中区)の慰霊式は、地域住民たち一般参加の受け入れを再開。学校の慰霊祭などで生徒の参列や音楽の演奏を再開するケースもある。

 一方、広島県内の感染者数は増えている。13日に1252人と48日ぶりに千人を超え、その後も千人超の日が続く。広島市医師会は、昨年と同様に追悼式の人数を例年の半分以下にする。事務局は「コロナは完全には落ち着いていないため縮小を続ける」と説明している。

(2022年7月18日朝刊掲載)

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