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社説・コラム

『この人』 広島県副知事に就き、G7広島サミットを担当する 玉井優子(たまいゆうこ)さん(2023広島サミット)

 経済産業省の官僚から広島県の副知事に1日就いた。広島市中区出身で、2023年5月に市である先進7カ国首脳会議(G7サミット)を担当する巡り合わせになった。「責任の重さを感じるが、古里で仕事ができるのは楽しみ」と気負いはない。

 南区の広島大付属中・高から東京大へ進学し、1999年に通商産業省(現経産省)入り。湯崎英彦知事と同じ経歴を持つ。入省後は、主に製造業や通商の分野を歩んだ。

 教訓にするのが、16~18年に担ったプラント輸出の支援だ。中央アジアのトルクメニスタン政府を相手にした際は、現地で10回以上、副首相と交渉した。価格面で折り合わずに撤退したが、粘り強さと信頼関係づくりの大切さを学んだという。

 小学生の時、原爆資料館(中区)を見学して惨禍に衝撃を受けて以来、「平和に関わる仕事をしたい」との思いも秘めていた。「核抑止力よりは核を持たないのが重要」。サミットはヒロシマを世界に発信する好機と捉え、外務省との調整に霞が関の人脈と経験をフル活用する考えだ。

 県では初の女性の副知事。地域政策局や商工労働局、農林水産局などを所管し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進も担う。仕事では妥協をせずに自分の考えを貫き通す一方、現場の声も大事にしてきた。性格は短気な面があると自認し「小さなことは気にせず、おおらかでありたい」と心掛ける。

 子どもの頃から広島東洋カープのファン。試合結果を毎日チェックする。趣味はゴルフと山歩き。「中央アルプスの標高3千メートルで飲むビールがおいしい」と笑う。(河野揚)

(2022年7月17日朝刊掲載)

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