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核被害の痛み 絵で訴え カザフの画家 広島で初の作品展

 旧ソ連時代に繰り返された核実験の影響で、生まれつき両腕のないカザフスタンの画家カリプベク・クユコフさん(45)の広島市で初の作品展が20日、中区の広島国際会議場で開かれた。口や足を使って描いた、核実験を告発する作品17点を1日だけ展示。原水禁大会出席のため広島を初めて訪れた23年前から秘めていた、二つの核被害地をつなぐ念願をかなえた。

 わき上がる不気味なきのこ雲と大草原にたたずむ母子、核兵器に恐怖する被曝(ひばく)者の表情、自然を守りたいとの思いを込めた湖や山などの小品を並べた。

 旧ソ連最大のセミパラチンスク核実験場近くの村で生まれたクユコフさん。兄や姉は生後1年以内に亡くなるなど、両親は核実験の影響を強く受けているという。作品展のオープニングに駆け付けた松井一実広島市長や、カザフスタン外務省の特使らに自ら作品の説明もした。

 広島入りした前日は、被爆者の田中稔子さん(75)=東区=から、大やけどをして死線をさまよった体験を聞いた。「被爆者の痛みは、核実験の被害者である自分たちの痛みでもある。広島の人たちと核のない世界を目指したい」と話していた。

 作品展は東京のNPO法人が主催し、カザフスタン外務省が共催した。(増田咲子)

(2013年11月21日朝刊掲載)

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