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被服支廠題材に物語 広島市立大生 23日から朗読会 ウサギ主人公 子どもに訴え

 広島市立大(広島市安佐南区)の学生グループ「ヒロシマ・ヤング・ピース・ビルダーズ」が、市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(南区)を題材に子ども向けの物語を創作し、朗読する催しを23日から市内の公民館などで開く。参加した小学生を対象に印象に残る場面を描いた絵を募り、紙芝居にする企画も進める。(湯浅梨奈)

 1945年夏のある日、ウサギのシロとクロはかごに入れられ、おうちの外に連れ出されます。そして―。軍服用の毛皮を取るため、軍の命令により被服支廠の周辺の家々で飼育されていたウサギが原爆に遭う物語。「軍都広島」の歴史と原爆の悲惨さを伝える。

 国際学部3年の佐藤優さん(21)が昨年、被服支廠の近くで育った被爆者の切明千枝子さん(92)=安佐南区=の証言会に参加したことが創作のきっかけだ。動物が主人公の物語なら子どもの心に届くはず、と思い立ち、切明さんから計8時間聞き取って書き上げた。仮装大会や運動会で廠内が沸いた話も盛り込んだ。「多様なエピソードから広島の歴史を学んでほしい」。大学の友人たち4人に呼びかけ、グループを結成した。

 7月上旬、「劇団テアトル広島」の森井恵さん(61)=安芸区=に指導を仰ぎ、臨場感が出る声の抑揚のつけ方を練習した。3年久米佳奈恵さん(20)は「倉庫群とウサギが日常を一瞬で失う物語を通して、平和が当たり前でないことを感じてほしい」と意気込む。

 朗読会は23日午後1時半と3時半の2回、仁保公民館(南区)で開催。24、30日も坂町民センター(坂町)など3カ所である。新型コロナウイルスの感染状況によっては中止する。

 31日には動画投稿サイト「ユーチューブ」でも公開する。小学生を対象に8月6~31日に絵を募集し、紙芝居作家いくまさ鉄平さんが紙芝居に仕上げる。問い合わせはhiroshimaypb@gmail.com

(2022年7月20日朝刊掲載)

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