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島根2号機安全審査了解要請 再稼働へ描けぬ道筋 厳しい審査も

 中国電力が21日、島根原子力発電所(松江市)2号機の再稼働に向け、第一歩を踏み出した。その前提となる安全審査の申請について地元の島根県と松江市に事前了解を求めた。ただ、2号機は、事故を起こした福島原発と同型で、原子力規制委員会による厳しい審査が予想される。目標の年内申請をクリアしても、その後のシナリオは描けていない。

 「安全対策は昼夜兼行で進めている。なんとか2014年度上期の早いうちに終えたい」。島根県庁で事前了解願いを提出した後、苅田知英社長は報道陣に強調した。

 原発停止に伴う燃料コストの上昇が経営を圧迫している中電にとって、一刻も早く安全審査の申請に踏み切りたかったのが本音だ。しかし、2号機は事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)型だ。7月に施行された新規制基準では、従来になかった厳しい安全対策が課せられた。

 中でも、事故時に放射性物質の放出を抑えるフィルター付き排気(ベント)設備と、事故対応の指令拠点となる免震重要棟は大がかりな工事が必要な施設だ。中電も当初の完成時期を15年3月までとしていた。

 しかし苅田社長はこの日、この2施設の完成時期を約半年前倒しする方針を明らかにし、あらためて早期の再稼働に意欲をみせた。

 ただ、再稼働の前提となる規制委の安全審査には約半年かかると見込まれる。現在は全国5電力が申請した14基を審査中だが、現時点で1基の終了見通しも立っていない。

 しかもBWR型については「ベントが本当に機能するか、相当議論を重ねる必要がある」(規制委の田中俊一委員長)とされ、審査のハードルも高い。年内に2号機の申請が可能になっても、安全審査の期間や終了見込みはまったく見通せないのが実情だ。

 中電は、2号機と同時に準備を進める新設の3号機について、今回は事前了解願いを見送った。苅田社長は「申請時期は今の段階では申し上げにくい」と述べた。(山瀬隆弘、樋口浩二)

(2013年11月22日朝刊掲載)

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