×

ニュース

私たちに関心を持って ウクライナのジャーナリスト団体 広島訪問 市民と記者の窮状訴え

 ウクライナのジャーナリスト団体のメンバー2人が20日、グリーンコープ生協ひろしま(広島市佐伯区)の招きで広島を訪れ、ロシアによる軍事侵攻を境に市民と記者が置かれている状況を中国新聞社(中区)で語った。「世界での関心が薄れかけている。私たちを忘れないで」と訴えた。

 通信社特派員でウクライナ全国記者連盟(NSJU)のセルヒイ・シェフチェンコ委員(62)と、ジャーナリスト支援団体「ジャーナリスト・イニシアチブ」のリュドミラ・メーヒ会長(70)。2人は夫婦で、首都キーウからコソボに拠点を移して活動している。

 ウクライナの記者は、国外から情報を発信する人、戦火の国内で取材を続ける人、それぞれが苦境にある。無収入の記者も多く、両団体は資金援助などをしている。「国内実態の海外発信と、海外からの支援の声を国内に伝える報道。ともに不可欠」とシェフチェンコさんは強調する。

 2月24日の軍事侵攻から約5カ月。戦争の出口は見えない。「プーチン大統領は最初から軍に市民を狙わせ砲撃した。降伏を求めるウクライナの国内世論を期待したのだろうが、間違いだ」とシェフチェンコさん。「それを許せば近隣国に侵略の手は伸びる。どの国にも人ごとではない」

 2人の息子と親戚はウクライナに残る。メーヒさんは「各地の空襲警報を通知するアプリを起動させ、肉親の身を案じている。通知が絶えない日はつらい」。

 ウクライナは1986年のチェルノブイリ原発事故で深刻な被害を受けた。今年3月、その原発をロシア軍は一時占拠。さらに、プーチン氏は核兵器使用をちらつかせる。地元紙記者だったメーヒさんは「核被害と戦争の痛みは広島・長崎と通じると思う」と語る。

 グリーンコープ生活協同組合連合会は今回、チェルノブイリ支援活動で交流のあるNSJUに1千万円を寄付した。2人は長崎や熊本も訪れる。(金崎由美)

(2022年7月21日朝刊掲載)

年別アーカイブ