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国泰寺高、被爆資料託す 原爆資料館へ 広島一中生の症状記載

 国泰寺高(広島市中区)は20日、前身の広島一中の生徒と教職員の原爆投下2年後の健康状態をまとめた資料など5点を原爆資料館に寄贈した。資料館は「学校単位での被爆実態が分かる貴重な資料」としており、2024年初めの展示を目指す。

 一中の2~4年生27人と教職員6人計33人を1947年時点で記録した健康調査票(縦17センチ、横26センチ)のつづりは3点。1人1枚の調査票には、被爆した場所や服装のほか、脱毛や白血球の減少などの症状と治癒にかかった日数など被爆に伴う影響を詳しく書いている。

 各人の自覚症状の項目には「運動すると頭痛、発熱する」「手や足、腹が蚊に刺されたようになって汁が出る」「少し走るとせきが出る」といった内容の記述もある。

 同高はこのほか、生徒と教職員の被爆者数と死者数をまとめた表(縦17センチ、横26センチ)と、被爆した場所と人数を示した地図(縦50センチ、横45センチ)も寄贈した。校内で保管してきたが劣化が進んできたため託すことを決めたという。

 資料館はすでに写真撮影をして、デジタル化を終えた。今後、紙の保存処理を進める。資料を基に、爆心地からの距離や被爆の状況による症状の差を調べたり、他の資料と突き合わせて症状の変化をたどったりする予定でいる。

 この日、同高で大林秀則校長が滝川卓男館長に資料を手渡した。大林校長は「子の健康を思った当時の校長や先生の努力の成果。原爆症の調査研究にも生かしてほしい」と要望。滝川館長は「詳細な調査資料だ。分析を進めたい」と話した。(宮野史康)

(2022年7月21日朝刊掲載)

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