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新・現代美術館 仕掛け着々 比治山公園再整備 館内カフェ公募/近くに展望台 来年3月中旬開館へ

 広島市南区の比治山公園にある現代美術館の改修が大詰めを迎えている。市は2023年3月中旬のリニューアルオープンを目指し、館内の新たなカフェ事業者を募っている。公園を「平和の丘」として再整備してにぎわいをつくる事業の一環で、近くに展望台も新設する。(川上裕)

 現代美術館は建築家の故黒川紀章氏の設計で1989年に開館した。老朽化が進んだため、20年12月に休館して工事を進めている。カフェと多目的スペースの計約200平方メートルを入り口近くに増築。エレベーターの増設や雨漏りしていた屋根の補修もする。

 市はカフェの事業者を今月29日まで募集している。カフェは96平方メートルで26席程度。改修前に館内の別の場所で営業していた店の2倍近い面積になる。賃料は月5万5779円以上を求め、コーヒーやジュース、軽食を提供してもらう。9月に事業者を決める。

 平和大通りを望む展望台は第2駐車場近くに造り、一帯の約6600平方メートルを広場に整備する。増築で地上2階地下2階延べ1万1千平方メートルとなる美術館の再オープンに合わせて完成させる。事業費は美術館の改修が約21億円、広場の整備が約1億5400万円。

 市は18年度から比治山公園を再整備している。陸軍墓地の屋根付きゲート新設やまんが図書館書庫の増築など1期工事を終え、現在は2期目。放射線影響研究所が広島大霞(かすみ)キャンパス(南区)に移転後、跡地にレストランなどを建てる3期で完了する。

 美術館はホームページで展示作品の解説を多言語対応にする方針。美術館の改修を担当する市文化振興課の横山徹也課長は「魅力を高め、国内外から訪れる人を増やしたい」としている。

比治山公園
 1903年開設。広島市が管理する。桜の名所である標高70メートルの比治山に現代美術館やまんが図書館がある。市は被爆70年の2015年に「平和の丘」へ再整備する構想を発表した。放射線影響研究所と陸軍墓地を含む約29ヘクタールを対象区域とする基本計画を作り、期間を三つに分けて施設を整備する。

(2022年7月22日朝刊掲載)

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