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[2023広島サミット] 警備や行政 連携課題 県民会議発足 行事やSNSで機運

 広島市で来年5月にある先進7カ国首脳会議(G7サミット)へ、21日に発足した広島県内の官民組織「広島サミット県民会議」は、多彩な行事で地元の機運を高めつつ、被爆地開催の意義や地域の魅力を国内外へ伝える役割を担う。厳戒態勢や交通規制も予想されるだけに、開催への県民理解が欠かせない。(河野揚、川上裕)

 「国際平和文化都市広島を印象づける千載一遇のチャンスだ」。松井一実市長は南区のグランドプリンスホテル広島での会合後、報道各社の取材に強調した。

 「おもてなし」「平和の発信」など5本柱に基づいて承認した事業計画では、200日前、100日前、50日前にカウントダウンイベントを開催。うち100日前は平和をテーマに据える。

 交流サイト(SNS)での開催PR、歓迎用バナー・ポスターの作製、住民参加型の事業、海外メディア向けのツアーや平和セミナー…。多岐にわたる取り組みに人材や財源を投じる分、県商工会議所連合会の池田晃治会頭は「サミット後のインバウンド(訪日外国人客)の増大に期待は大きい」と見込む。

 一方で課題となるのが、警備態勢や交通規制だ。安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、県関係者の危機感は強い。主会場候補のグランドプリンスホテル広島は海に囲まれ、警備しやすいのが利点とされるが、湯崎英彦知事は「船がかなり通るため、防御が大変難しい。海上保安庁や警察と一体となって対応する必要がある」と気を引き締める。

 警備強化のため、広島市内では大規模な交通規制が想定される。県バス協会会長として設立総会に出席した広島電鉄(中区)の椋田昌夫社長は「早めに規制が分かれば、利用者への周知ができる。不便にならないよう、場合によってはバスの経路変更なども検討する」と話した。

 県民会議の発足前には、県と市が事務局の主導権を巡って綱引きをした経緯がある。この日の役員会では事業計画案に関し、湯崎知事の提案に松井市長が異議を唱える場面もあった。県民会議の事務局職員の一人は「ひやひやした。しっかりと情報共有と意思の疎通を図りたい」と、県市の連携を誓った。

  <広島サミット県民会議の構成組織>
 【行政】広島県▽県内23市町▽第6管区海上保安本部▽県警▽県教委▽広島市教委▽広島広域都市圏協議会
 【経済】県商工会議所連合会▽広島商工会議所▽中国経済連合会▽広島経済同友会▽県経営者協会▽県商工会連合会▽県中小企業団体中央会▽県中小企業家同友会
 【観光・宿泊】県観光連盟▽広島観光コンベンションビューロー▽県生活衛生同業組合連合会▽県ホテル旅館生活衛生同業組合▽グランドプリンスホテル広島▽リーガロイヤルホテル広島▽ANAクラウンプラザホテル広島▽ホテルグランヴィア広島▽シェラトングランドホテル広島▽ヒルトン広島
 【電気・ガス・通信】中国電力▽中国電力ネットワーク▽広島ガス▽NTT中国支店▽NTTドコモ中国支社▽KDDI中国総支社▽ソフトバンク中四国支社
 【交通・運輸】JR西日本広島支社▽広島電鉄▽県バス協会▽県タクシー協会▽県旅客船協会▽県トラック協会▽西日本高速道路中国支社▽広島高速道路公社▽広島国際空港
 【医療・衛生】県医師会▽広島市医師会▽県歯科医師会▽広島市歯科医師会▽県薬剤師会▽広島市薬剤師会▽県看護協会▽日本赤十字社県支部▽県食品衛生協会▽広島市食品衛生協会
 【平和】広島平和文化センター▽へいわ創造機構ひろしま
 【文化】ひろしま文化振興財団▽広島市文化財団

(2022年7月22日朝刊掲載)

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