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図書館再整備で素案 広島市 「総花的」市議は批判

 広島市中区の市立中央図書館などの再整備計画で、市は25日、図書館に必要な機能を盛り込んだ再整備方針の素案を市議会総務委員会で示した。議論不足を指摘する市議会の決議を受け、市民や議員の意見を踏まえてまとめた。議員からは「総花的で大切なポイントが分からない」などとする厳しい意見が相次いだ。

 市はJR広島駅前の商業施設エールエールA館(南区)への移転が最善としているが、素案は整備場所を明示せず中央図書館やこども図書館に必要な機能をまとめている。中央図書館は「広島の歴史や文化、産業を学べる」「人々が交流し、憩える」など9項目を列挙した。こども図書館は「子どもの成長や将来のまちづくりに役立つ場の提供」や「学校や他の図書館との密接な連携」が必要だとしている。

 委員会では、新たな施設に必要な面積や蔵書数など具体的な数字が示されず、市が目指す図書館像が見えないなどと市議が指摘。「目指す姿がしっかりしていないと今後の整備地の検討ができない」などの意見が出た。市は「今後、専門家や市民の意見を踏まえ(素案の)内容を充実させる」と述べた。

 市は素案について、今週中に市民意見の募集(8月25日締め切り)を始める。市立図書館協議会などの有識者の意見も踏まえて12月初旬に再整備方針を固める。2022年度中に現地建て替えと中央公園内での移転、エールエールA館への移転の3案の詳細な比較表を作り、市民の理解を得て整備地を決めたいとしている。(余村泰樹)

(2022年7月26日朝刊掲載)

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