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来月 米でNPDI外相会合 首相、異例の初出席へ 核軍縮訴え

 岸田文雄首相は、日本を含む非核保有12カ国でつくる「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」外相会合に、日本の首相として初出席する方向で調整に入った。NPDI会合は核拡散防止条約(NPT)体制の維持・強化を図る外相級の枠組みで、8月に米国で開催予定。「核兵器のない世界」を掲げる首相は異例の初参加により、核軍縮機運を高めたい考えだ。同時期に開かれるNPT再検討会議成功に向け後押しを図る。

 複数の政府関係者が23日、明らかにした。NPDI会合は前回2019年11月に開かれた。20年開催予定だった再検討会議へと弾みをつける考えだったが、新型コロナウイルス禍で延期となり、再検討会議は8月1~26日に米ニューヨークで開かれる。

 前回15年は核保有国と非保有国の対立により、NPT体制強化につながる最終文書を採択できずに決裂した。  首相は初日の1日にも日本の首相として初めて演説する方針で、対立が続いている核保有国と非保有国の橋渡しを図る方針だ。

 関係者によると、NPDI会合も首相演説と同じ日にニューヨークで開催する見通し。首相は冒頭で、メンバー国に再検討会議で成果を出せるよう協力を呼びかけるとみられる。

 首相のNPDI会合出席に伴い、林芳正外相は参加を見送る方向だ。日本の外相は過去10回の全てのNPDI会合に出席してきた。ただ今回は、被爆地・広島選出で核軍縮をライフワークとする首相が自ら参加することで、日本の存在感を発揮できると判断した。

軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)
 「核兵器のない世界」を目指して日本とオーストラリアが主導し、2010年9月に設立された非核保有国で構成する有志国の枠組み。日豪のほかドイツ、カナダ、オランダなど計12カ国が参加。これまでに10回の外相会合を開き、核拡散防止条約(NPT)体制の強化に向けた具体策を提言してきた。19年に名古屋市で開いた前回会合では、核戦力の透明性向上のため核保有国に定期的に報告書の提出を求める声明を発出した。

(2022年7月24日朝刊掲載)

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