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海外紛争取材 支え合い訴え 吉田で安田菜津紀さん

 難民問題や貧困、差別をテーマに取材するフォトジャーナリスト安田菜津紀さん(35)の講演会が23日、安芸高田市吉田町吉田のクリスタルアージョであった。海外の紛争地や震災被災地を取材した経験を基に、平和な日常や人と人との支え合いの大切さを訴えた。

 激しい爆撃を受けた市街地、戦災で足を切断し、隣国に逃れた女児…。ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナや、内戦が10年以上続くシリアで撮影した写真を紹介した。5、6月に2回にわたってウクライナで取材した安田さんは「当たり前の日常が一方的に粉々に砕かれる。戦争は理不尽な人災」と力を込めた。

 安田さんは、東日本大震災の被災地で、夫の両親が暮らした岩手県陸前高田市での取材を続ける。同市で津波に流されて亡くなった義母が三次市出身だったことや、仮設住宅で暮らす被災者がシリア難民に贈る衣類を集めた逸話を紹介。「シリアの人々に心を寄せる被災者から『恩送り』という言葉を聞いた。恩送りの連鎖で世界が成り立っていることを教わった」と語りかけた。

 安芸高田市の人権啓発強調月間を機に市が主催し、約150人が聴講した。

(2022年7月24日朝刊掲載)

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