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新防衛大綱基本方針判明 装備・要員 増強へ転換

 政府が今年末に決定する新「防衛計画の大綱」(2010~14年度)の策定に向けた基本方針が20日、判明した。中国の軍事的な台頭や北朝鮮の核、ミサイル開発を踏まえ「装備、要員の縮減方針の転換を図る必要がある」と明示。冷戦終結を受けて1995年策定の大綱から削減傾向にある予算を増額させる方向転換を打ち出した。同時に「情勢の変化を踏まえた選択肢の確保」との表現で、敵基地攻撃能力の保有を検討する姿勢を示唆している。

 日本を取り巻く安全保障環境の変化に乗じた形だが、衆院選後の政権交代の可能性も指摘されており、新大綱が防衛費増額の方向を示せるかどうかは見通せない情勢。ただ民主党内にも防衛力増強を求める声があり、新大綱は年末までの大きな焦点になりそうだ。

 基本方針は、中国や北朝鮮の動きに関連し「周辺地域の軍事力が近代化、活発化している」と指摘し「現在の防衛力による各種事態への対応力に限界があり、実効的な対応が必要だ」との認識を表明。2004年に策定した現大綱で定める陸上自衛隊の定員15万5千人を1995年の16万人に引き上げるなど自衛隊員の増員を検討する。防衛力の整備に関しては「対応能力を常続的に運用して高い能力を示すことで各種事態を抑止する」として、主眼は抑止力の強化と指摘。北朝鮮の度重なる弾道ミサイル発射や核実験を踏まえ、ミサイル防衛(MD)システム強化の必要性を強調した。

防衛計画の大綱
 長期的な防衛力の整備、維持、運用に関する防衛政策の基本方針。これに基づき中期防衛力整備計画で部隊規模、経費などを明示し、防衛力の透明化を図っている。大綱は1976年に初めて策定され、1995年と2004年に改定。2004年大綱は2001年に起きた米中枢同時テロ発生後の国際安全保障環境の変化を受けて策定、5年後の改定を明記した。 

(共同通信配信、2009年6月21日朝刊掲載)

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