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核不使用の合意 可能 NPT会議 寺田補佐官に聞く 弾頭数削減にも意欲

 8月1日に米ニューヨークで開幕する核拡散防止条約(NPT)再検討会議を前に、岸田政権で核軍縮・不拡散問題などを担当する寺田稔首相補佐官(広島5区)が中国新聞のインタビューに応じた。各国との交渉実務を担うキーパーソンは、ロシアのウクライナ侵攻下でも、核弾頭数の削減や核兵器の不使用についての合意は可能だと指摘。「核兵器のない世界」に向けて歩みを進める決意を示した。(樋口浩二)

  ―NPTに加盟し、核軍縮の義務を負うロシアが核兵器による威嚇に踏み切る中での開催となります。
 大前提として、再検討会議はロシアを含む核兵器保有国を交えた議論ができる貴重な場だ。核による威嚇など保有国の「暴発」を食い止めるため、今回は何としても保有国の動きを制限する合意を得たい。

  ―具体的な目標は。
 ロシアを含む核保有5大国が「核戦争に勝者はない」とした今年1月の共同声明は効力が失われてはいない。少なくとも核兵器を二度と使用せず、広島、長崎への原爆投下後の「核兵器の不使用」を続ける確認をしたい。その上で核弾頭数の削減にも合意したい。

  ―保有国との交渉をどう進めますか。
 初日の岸田文雄首相の演説後に本格化する実務交渉がまさに私の出番だと思う。米国や英国の軍縮代表とはすでに面会し、「核なき世界」を目指す考えを共有している。米英の協力も得てロシアや中国にアプローチしていく。核軍縮の具体策を探る委員会などにも出向きたい。

  ―年内の国際賢人会議や来年5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)など広島を舞台に核軍縮を論じる国際会議が続きます。
 被爆地に集う核保有国の首脳に、ひとたび核兵器が使われた場合の惨状を伝えるまたとない好機だ。そのためにも、今回の再検討会議で核軍縮に合意し、廃絶への流れを加速させたい。

(2022年7月23日朝刊掲載)

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